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Posted by あしたさぬき.JP at

2017年01月28日

ポスト新年

 新年あけました。だいぶ前に。

 書かなきゃいけないと思いながらなかなか書けずにはや8ヶ月。お知らせもありますが、その前にこの間のことを少し振り返ってみることにするが。
 
 夏、ヒマワリを20aやった。まんのう町が特産にしようっていうやつな。これについてはまた日を改めて書こうかな。

 夏の終わり、徳島市で開催された天敵利用研究会に参加した。これはがいにおもっしょかったなー。主に普及センターや公的研究機関、メーカーの人たちの研究会やけど、そういう人たちの本音が聞けるのがええよね。農民のあんまりおらんとこで。農民もこういう研究会にもっと参加するといいよ。楽しいよ。
 
 せっかく近くでやってるのに香川県からの参加者は少なかったなあ。香川の農民は働き者やきん、わしみたいに天敵昆虫に働かせてその間に競輪しようなんていうのはおらんのやろう。とにかく隣の高知県が天敵利用の大先進地なもんで高知無双。群馬県職の人がゆってたの「みんながうらやむ高知県」って。そりゃそうや、害虫以外の虫なんて知らねっていう農民が大多数のなかで、天敵技術を普及させるなんて並大抵のこととちゃう。そんな中、小豆島いちご部会担当のJAの若い子が、前の発表者である高知県の方の酒割れダミ声報告に軽くジャブを放ちながら実に堂々と口頭発表してたのが印象に残った。小豆島の女峰、美味しいよ。厳寒期の今が大粒で酸味も甘みも濃厚で最高やな。マルヨシ満濃店のインショップ産直のすぐよこによく置いてあるのでときどき買ってる。

 虫といえばカメムシやけど、これも後日まとめて。こう書いてたら書くやろ、後日。いつか知らんけど。

 9月のクソ雨。植えた苗が完全水没したの初めてやったな。畑が乾かずに9月半ばから1ヶ月間定植でけず。おかげで来月収穫のお仕事がなさそう。よしブログ書くぞ。プロブロガー目指して山ん中のセミナーでも参加するか。うそ。わしブロガーやなしにブロ屋やがーやし。あ、11月から1月にかけては水害からなんとか立て直したブロでこの世の春を謳歌しておった。ごめん。

 ブロ屋やがーとしてのお仕事のお知らせです。



生涯農民一年生、ウサギさんチームの中戦車定植機KP-201Lです。


 現在発売中の『現代農業』2月号の「鈍感品種で端境期を埋める」に、11月植えグランドームについて寄稿しました。これ、元々徳島県が開発した技術の応用で特に新規性はないし、去年は冬の天気がごじゃで思うような時期に取れなんだのでお恥ずかしいのやけど、よその地域の技術の話を読んで、それをどのように考えながら自らの栽培に取り入れて、検証し、自らの技術としていくかということを意識して書きました。雑誌記事だけじゃなくてネットの口コミなんかもね。

 そして今年の11月植えグランドームのその後。


1/19撮影

 記事に臨機応変と書いたけど、結局べたがけまだしてないの。今年も1月初旬までぬくかったきんなあ。この草勢なら2月下旬くらいからガンガン行くんちゃうかと読んどる。ほんま気候に合わせて臨機応変なんよ、これ。徳島県の試験でも去年の作は前進したり2つめの花蕾の発生が少なかったと業務年報に書いてる(PDF)。楽しいね、端境期ばくち。気温や土壌水分に対して鈍感な品種も必要やけど、失敗を恐れない、失敗してもへこたれず検証して学んで成長する鈍感力も必要ではなかろうかね。そう、練習試合の聖グロリアーナ女学院戦での敵前逃亡から、なんども撃破されながら徐々に成長し、戦車道全国高校生大会決勝戦で黒森峰女学園の重戦車を2輌撃破するに至ったウサギさんチームのように。

 





  


Posted by kazuzo at 16:29Comments(0)野菜

2016年05月22日

ガッタガッタ作型(2)




 春ブロッコリーのお片付けをしよった。畝上に残った茎葉あるいは後から伸びてきた脇芽をハンマーナイフモアで粉砕して、粉砕したもんが乾いて軽くなったらマルチをのける。これ暑い時期に土煙にまみれながらやらないかんきん、よいよえらい。次の年はのける必要のない生分解性マルチにしようそうしようと思うんやけど、年が変わると、わしの頭の中の小人が言うわけよ。グリーンマルチ張って地温上げたら早よ採れるで。銭やでって。そんで毎年5月にえらい目する。来年は生分解性マルチにしよう。まじで。

 そんなこんなで前回の続きなんやけど、4月中下旬にどうやってブロッコリーをとるか。しかもえらい目せんと。そういうことを秋くらいからずっと考えよんな。

 夏播き秋植えブロッコリーの定植が終わった去年の10月、某農業誌を読んでたら後ろの方の記事にびっくりするのがあった。11月半ばにブロッコリーを植えて4月にとるという。そんで同じ株からもう一本5月にとるんやって。しかも被覆資材の追加投資はしても不織布かけるくらいとか。なんとか。5月の2本目とかどうでもええ。そのために多肥栽培せないかんそうやし。4月や。わしが欲しいのは。秋冬ブロッコリーと春ブロッコリーの間に空いた時空の裂け目にねじこむギガドリル。あるいは、ポッカリあいた端境の穴を無理矢理埋めていくんだ~あーあーあ~。

 早速わしも試してみることにする。11月に植えようと思ったらすぐに種を播かないかん。記事には「グランドーム」が適するとある。普通は8月に播いて9月上旬までに植えてクリスマスを狙う品種。種苗店に小袋が1つだけ残ってた。レジに持って行くと、これ今頃播けたっけ?とおばちゃん。最近、大手メーカーとかしっかりした種苗店は播種の適期にシビアやな。そらそうや、向かない時期に播かれて出来んかったがーとか美味しくないがーって言われても困るきんな。

「ああ、これな、現代農業に乗ってt…」

 しまった!おばちゃんの顔がいっそう怪訝そうになってしもた!あの雑誌はほんま玉石混交やきんな。そんで農家は往々にして石のほうを真似たがる。慌ててこれは徳島県の公的研究機関が開発した新しい作型であることを付け加えて、売ってもろた。

 暖地の秋冬ブロッコリーは一番遅いやつでも10月中には植えないかんっていうのが常識。その次に植えるのは1月。年明けてから植えるのは春ブロッコリーと呼ばれる。そしたらこの11月半ば定植っていうんはどっちなん。秋冬ブロはぬくいうちに株を作って、その葉っぱで花蕾を作る。春ブロッコリーは厳寒期を被覆資材の中で耐え、春先から一気に株を大きくして収穫まで持っていく。

 エルニーニョで暖冬って言われてたきん、年内に中途半端に株を作ってしもて2月3月にショボいのができてもおもっしょないなあ。ブロッコリーはある程度株がでけてから低温に一定期間当たると花芽がでけるきんな。ベストのタイミングで花芽分化のストップウォッチを押さないかん、このグランドームっていう品種は低温に鈍感でよいよこんまいうちに花蕾がでけてしまうボトニングという生理障害のリスクは低い。4月半を狙うなら初期生育抑えてじっくり株作ったらええんちがうんと思って、11月に定植する春キャベツにならって少なめの肥料でスタートした。春ブロッコリーに近い作型とにらんだわけやな。試験やきん、グランドームと一緒におはようと恵麟も定植した。どちらも春秋兼用の早生品種な。

 さあ勝負。しかし去年の11月はよいよ雨が多くて定植が11月18日にずれ込んだ上に、水はけの悪い水稲の跡しか用意できずに過湿でいじけさせてしもうた。まあええか。春までに株を作ったらええんやし。

 そんなこんなしてるうちに現代農業誌に載った記事の元論文がネットで見られるようになった(参照)。グランドーム以外に選ばれた品種は本来9月の終わりから10月に植えて3月末から4月にとるやつやな。あと施肥設計からも、この著者は秋冬作の延長として考えていると推定でける。んん、グランドームと、現行最晩生品種の晩緑105以外は減収しとるな。遅植えで年内に株がでけんかったんやろな。晩緑105は元々株がそんなに大きくならん上に3月になってぬくくなるとまたようけ葉を出す性質があるきん(もっともそのために肥料を一気に吸ってしまうと場合によっては困ることもある)遅植えの影響が軽微やったんやろ。
  
 さて、わしが選んだ早生品種やけど、1月植えで真価を発揮する恵麟はものの見事に全部ボトニングしてしもうた。おはようも半分ボトニング、でけたのは3月にでけたけどボリュームイマイチ。グランドームは初期生育悪かったけど、そもそも湿害に強い品種やしで、3月くらいからジワジワ生育して5月にずれ込んだものの取れた。ボトニングは全くなし。なるほどなあ。徳島とアプローチは正反対やけど、わしの結果からも11月植えで面白いのはグランドームであった。

 実はグランドームは半ばオワコン扱いされてた品種なんや。2000年代中頃に登場して高品質な花蕾をクリスマスにドンと出せるということで人気になった。ところが2010年代に入ると暖冬傾向から厳しい冬になった。そうなるとこの品種は低温で花蕾が大きくならん、なっても赤く着色するという弱点を露呈してしもうたんや。代わりに台頭したのが低温伸長性が高く、花蕾の着色もないおはようやったんな。それがこの2年間また暖秋暖冬に戻った。そうなると今度はおはようでうまくいかん例も多くなってきた。

 面白いなあ。まだまだブロッコリーの品種と作型は発展途上。11月定植もまだまだ検証が必要やけど、これからも思いもよらない作型が出てくるかもしれん。そんでそのうちキャベツみたいに、被覆資材を使わなくても年中どっかで作れる野菜になるんかなあ。そんなキャベツも日本に入ってきた当初は北海道でしかできんかったんやって。そこから今の地位を築いた。わしもブロッコリーの発展史の中におると思うとわくわくするでないか。





 いろんな野菜の作型を網羅しとるんやけど、特にアブラナ科よろず屋には必携やと思う。基礎を学ぶのが新しい方法を考える近道や。そもそも基礎が分かってないとそれが新しいかどうかも分からんでないかのう。  

Posted by kazuzo at 23:16Comments(0)野菜

2016年05月05日

ガッタガッタ作型(1)

 半年続いたブロッコリー収穫シーズンもそろそろ終わるので、ひとつ反省とか総括をしてみようと思うんやが。

 今年は波乱万丈やったなあ。まず10月ほとんど雨が降らない&暑い大旱魃。すでに花蕾をつけていた極早生品種は水分要求量多い時期で苦しかった。水やろうと思っても用水路に水ないし、仕方ないから家から500Lタンクにアミノ酸とか有機酸カルシウムの葉面散布剤を薄く溶いて畦畔噴口で頭上潅水してやったりしたものの焼け石に水であった。アントシアン(葉とか花蕾が赤くなるやつやが)の出やすい2番手品種は下葉にアントシアンが出た。こんなぬくい時期にアントシアン出たの初めて見たけど、強日射&水分肥料分吸えないんやから出るわな。決して寒さだけで赤くなるわけじゃないのはブロ屋は覚えておくといいよ。

 11月。ぬくいのはそのままに雨がようけ降った。2番手品種、3番手品種は旺盛に肥料を吸い、夜温が特にぬくいこともあって大前進。収穫見込みよりどれも2週間前進して、温すぎるゆえの生理障害や病害も多発。生育ちょっとでも止めてやろうとホウ素カルシウム亜リン酸など投入するもこれまた焼け石に水であった。12月もぬくくてクリスマス前の最大需要期でも品物が溢れてちょう安い。ブロレタス屋にはクリスマス中止のお知らせが高らかに鳴り響いたのであった。

 1月。暇。なんでか。4番手以降の品種を植えるんを大幅に遅らせたきん。定植時期の9月半ば頃になるとどうも今年のエルニーニョはエグいらしいということがはっきりしはじめた。そんなら急いで植える必要ないわ~と考えて畑のコンディションが揃った9月末にえいやあで4~6番手まで一気に定植した。おかげで2月3月我が世の春を謳歌した。

 4月、秋冬ブロッコリー最終盤にまた菜種梅雨で病害多発。去年ほどではないにせよ。このラストの品種は年内に株作った上に、3月半ば以降新しい葉をすごい勢いでどんどん展開しながら花蕾を大きくする特徴があるんよな。ということは水と肥料そこでいっぱい吸っちゃう。なもんでそのときの根回りの養分がどんなんなっとるか。冬に雨がようけ降ってミネラルが流れてしもうてたら地温上昇で有機物分解して窒素優先になって病気になるかもしらんな。葉面散布にもやっぱり限界がある。

 
 いやあジェットコースターやったなあ。昔はもっと価格安定しとったんやけど、気候の極端化、需要増に対応した作付の増加、あと結球野菜と違ってブロッコリーはそんなに長いこと畑に置いておけんのな。その辺りよう考えんと結球野菜と同じノリで外国人実習生の安い収穫労力(法令守っとる?)でゴリゴリ作ってモリモリとる経営体の増加。関東の大産地では昔からそうやったみたいなんやけど、大産地でもないこちらでも増えてきた。

 えー、外国人技能実習生を安い収穫労働力として一日中働かせるために真っ昼間暑くてもブロッコリー採るとしますわな。結球野菜はそれでもOKなんかもしれんけど、花蕾ものは劣化が著しいのでありますよ。なるべく涼しいときにとってなるはやで予冷せないかん。作型がかぶってあほほどの品物の量が出た11月12月あたり、予冷もせんととっては投げ、とっては投げの産地の品物はアメリカ産の輸入物よりやすかったとか。アメブロやってメキシコからの不法移民こき使ってやってるんやけど、どでかい農地にどでかい機械入れて収穫から氷詰め箱詰めまで流れ作業で一気にやる。選果場のラインにエンジンとタイヤつけて畑に走らせるんやもん。収穫からの時間は経ってても棚持ちが違うわな。戦車に竹槍やが。

 わしらんとこみたいな家族経営中心の小規模産地は丁寧に朝取り予冷氷詰めでいかな話にならんわな。ほんで、全体の物量ないならないで、でもどこも持ってないときにちゃんとあるでって言えるようにせないかん。やっぱり欲しいんは4月中下旬。トンネル栽培ならでけるんやけど、労力ががいに要る。最近は大規模な法人さんなんかはレタスのトンネル跡にブロッコリー植えて4月にとるっていうんをやっりょるんやけど、支柱やビニールをセットしたままレタスの植え穴のあいだあいだに植えるんやきん、人海戦術やな。それ以上は言わんけど。

 そんなわけでわしは新しい品種を試したりしよんやけど、ねむいきん続きはまた今度にするわな。

  

Posted by kazuzo at 22:56Comments(0)野菜

2016年04月21日

『明後日農業』6月号品種特集より「端境期を狙うブロッコリー品種は趣味で選べ」

 需要増とそれにともなう産地の増加、天候の極端化によって近年価格の変動が大きい品目になってきたブロッコリー。特に供給が難しいとされる端境期の4月中旬にブロッコリーを出荷するのにも品種の力が欠かせない。ブロッコリー産地香川県の生産者に話を聞いた---------------------

 「端境期を狙う品種?そやなあ、ネタとして美味しいかどうかかな」

 はあ。意味が分からないのですが。

 「虚心坦懐にネタとして面白い名前の品種を選んだら端境期に当たるんよこれが不思議と」

 まんのう町のとよしまかず人さん(40)はネタでブロッコリー品種を選んでいるそうです。

  「去年、菜種梅雨の長雨とその前の大霜で西日本中の秋播き最後のブロッコリーが腐ったやろ。うちも植えた1割しか取れなんだ。ほんまひどい長雨やったな。ワルプルギスの夜とはこのことやな。品がないきんひどい相場になった」

 「その直後、うちのブロッコリーがぱああああっと出て、天気もいっぺんによくなったんな。なんていう品種か。「まどか」っていう品種や。円環の理って分かるか。まあええわ。」

まどか(ブロリード)
 


 「今年?今年は暖冬の前進で端境期が早うに来るっていう見込みやったな。春作もダッシュを効かせないかん。まどかより早い品種が要る。ところでわし競輪が大好きなんよ。もう20年くらいやっりょってやな、で、メーカーのカタログ見よってビビッと来たわけよこれ、「恵麟」。早うなかったら嘘やな。実際ちょっと荒削りやけど、とにかくダッシュが効く。香川の大西祐選手みたいな感じやな。今日の平塚は先行やと思ったけど捲りかえ。6番泣きながら千切れとったな」

恵麟(トキタ種苗)



 「カマシが決まると気持ちがええな。トンネル作も作ったけど、べたがけでも1月末に定植して4月20日に採れる」

 「昔は観音寺に競輪場があってな、レタス農家のじいさんたちが札握りしめて遊びょったんよ。それが高齢化で、レタスは作業がしんどいきんな、安い外国人実習生をこき使う大きな農園ばっかりになってしもうた。競輪場も長い不況で潰れてしもうた。わしは悔しくて悔しくて」

 その話はまた今度でいいです。ところでとよしまさんの最近の口癖は「ガルパンはいいぞ」とのこと。では来年端境期を狙う品種は…




 「タキイの「チャレンジャー」がええと思うな」


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『明後日農業』6月号品種特集より「端境期を狙うブロッコリー品種は趣味で選べ」


 今更チャレンジャーはないわ。というわけで、ブロッコリーあんましない時期やけど、夢ハウスとか讃さん広場とかマルヨシにちょこちょこ出しとるきんよかったら見といてつかな。
  

Posted by kazuzo at 22:16Comments(0)野菜

2015年10月08日

オクラダンジョン飯

 オクラの採り始めの記事からずいぶん間が空いてしもうたけど、このたびオクラの収穫を終了したので今期のオクラを振り返っておこうかな。波乱万丈で面白かった。早取りで夢ハウス&33広場において25日間独走は気持ちよかったけど、その後の梅雨の日照不足はつらかった。4月の長雨で根張りイマイチやったきんなおさらやが。亜リン酸&アミノ酸を必死に葉面散布。そしたら強力な脇芽がワサワサ出てきた。これが頂芽とともに熱い夏に大活躍。脇芽を1,2本に整理してやると、切り戻しをしなくても取りやすいとこまで伸びてきた。同時に頂芽は寸が詰まって最後まで4四十肩に優しい収穫位置。実に美味しかった。糞暑い夏はオオタバコガががいにわくんやけど、オクラは成長点が1つとか2つでそれが猛烈な速さで伸びるきん、殺虫剤の効果がすぐ切れる。今年はプレバソンフロアブル5がオクラにも登録されたけど、浸透移行性のおかげで従来の剤より少しは長く効いた。いうても虫が抵抗性つけやすい剤やきん、連用はでけん。難儀やけどしゃあないな。


 反省点としては乾燥嫌って低い畝にしたら長雨で裏目食ったでござるの巻やな。あと乾燥時の畝間潅水もしにくい。今年いろんな巡り合わせで3品種やったけど、メイン品種を来年は変更の予定。トンネルは絶対飛ばさないこと。ツルツルのズルムケはあかん。

 さて片付け。今年はハンマーナイフモアを買ったので、これで一気に粉砕する。今までは刈払機で刈り飛ばして、えっさえっさと運んで積んで焼いてたんやけど、これだけのバイオマスもったいないでないか。粉砕して鶏糞と混ぜ込んでCN比調節してやれば後作に好影響なんちゃうん。

 二条植えの片方ずつ粉砕して帰ってきたとこ。


 仕上げに真ん中をざーっとかける。



 どんどん重くなるモアー。ロータリーカバー開けてみたらオクラの葉茎、これも粉砕したらネバネバなんやけど、それがかたまりになってへばついとるでないか。高圧洗浄機でも流れない。ねっちょりとしたそれを取ってみるとまるでスライムであった。




 これ食うのどうやったらええかな。そういえば『ダンジョン飯』でスライム食ってたなあ。




 久々にわしの内なるSF魂を刺激される『ダンジョン飯』。面白いなあ。え、ファンタジーちゃうのって?まあどっちでもええんやけど、この場合は食やけど、架空の社会や科学の体系をいかに大きく面白く緻密に展開できるかがSFの醍醐味やんか。わしにとってはそうなんやって。食はまさに科学と社会がカジュアルに交差するところで、そこに今までなかった体系を組み上げたのが面白いんな。



 ところでこいつな。今年はこいつをオクラやピーマンの周囲に植えたクレオメやゴマに誘引して野菜の被害を要防除水準に至らせない方法をなんとなく確立した。




 クレオメやゴマは去年から植えてて、本来の目的は土着天敵のタバコカスミカメを誘引することやったんやけど、食用カメムシを誘引できたのは怪我の功名。功名?

 あ、今年はタバコカスミカメもちゃんと来てくれた。見えるかな。細いの。真ん中らへん。




 ほんで、昆虫食ってゆってもいろいろあって、こういう↓今でも文化として土地に根付いてるもんはええとしても




 カメムシなんかはほぼゼロから作り上げていかないかん。料理法、栄養素やリスクの評価、他の産業や生活や環境に負担をかけない採集法、マーケティング、加えてこれを病害虫防除(Pest Management)に位置づける、EPM(Eat & Pest Management)というレイチェル・カーソン以来の新概念。これSFやったらわくわくするんやけど、ほんまにやろうと思えば片手間ではなかなか難しいなあ。とりあえず囮作物に誘引して他の作物から切り離したり、農薬の暴露の影響を減らしたりするまでには至った。そこまでは割りと得意なんやけど、料理とか苦手やしなあ。

 素材としてミナミアオカメムシよりブチヒゲカメムシほうが好みなことに気づいてしまった今年の夏。ようけ採れるのはミナミアオなんやけど。パクチーが好きで好きでたまらんっていう人にはミナミアオかな。




 うちの秋パクチーはこの週末から夢ハウスに出すよ。  

Posted by kazuzo at 23:16Comments(0)野菜

2015年05月26日

微妙なる畑に立ちて

 オクラはじめたが。

 あ、種まきでなしに出荷な。初日の今日はまだ15袋しかなかったけど。



 
 え、早い?そう!満濃国際学園(略称略)3年、灼熱のオクラスプリンターとはこのわしのこと!!

 …今年で40になるんやけど、もうそろそろこういう芸風考えなおしたらほうがええんでなかろうか。まあええか。『弱虫ペダル』、波はあるけどおもろいしな。

 今年は3月17日に種播いた。

 「この種を播けばどうなるものか 危ぶむなかれ 危ぶめば苗はなし 種播けばその一粒が銭となりその一粒が銭となる 迷わず播けよ播けばわかるさ」

 てなもんや。うそ。周到に準備した。発芽温度というのがあってやな、寒いと出るもんも出んし、発芽がモタモタしよると立ち枯れる。今年1月の終わりに高知の義妹の実家に遊びに行ったんや。雨の多かった今年の1月やけど、その日はほんまにええ天気で畑もうまく乾いとって、そこかしこでオクラのマルチ張っりょるんな。高知の沿岸部はそんな時期から準備を始めてその1ヶ月後に播いてしまう。そらこっちよりぬくいんやけど、トンネルに水封マルチにべたがけと、地温を確保するいろんな手段を駆使する。義妹のおばあさんに、こっちはGWに播くんですよって言うたら笑われたが。

 「それでは(銭を)取るとこないろう」

 ほんまその通りで、なんも被覆せずにGWにそのまま植えたんでは収穫始めから一ヶ月も経たんうちに毎年底値が来てしまうんよ(去年は台風の影響で例外的によかった)。わしはべたがけだけして4月の半ばに播いてたけど、今年はさらに早くしたろうと思ってたとこやった。高知の人たちに気合を入れてもろた(回想シーンおわり)。




 播種の1ヶ月前からトンネルして、畝の真ん中に水封マルチして、種播いたらべたがけ被せる。これで最低気温が0度になる時期にも播ける。トンネル飛んだらサヨウナラやけど。いやいやいやいや、やばいときあったんよ。もう4月やったきんまだマシやったけど、ビニールの選択間違えて、ツルッツルのよくすべるん使うたら、風の強い晩にズルっとズル剥けしてしもうた。そんで風で葉が擦れてせんでもええ病気してしもうたんや。他にも涼しい時期ならではの今まで出たことなかった病害が少し出たりしたなあ。そんなこんなでハイリスクには違いない。でもやるんだよ。オムツ替えた5分後に何食わぬ顔でうんこする息子のために。


 

 これはわりと最近の様子。オクラの両側に麦の壁。いやこれな、この畑を秋に片付けた後ライ麦播いとって、それを2月にトラクターで鋤きこんだときにな、ちょっと土の水分多いところにすり減った刃で耕耘したもんやきん、麦が畝肩に残ってしもうたんや。だめなわし。ところがその麦をわしの座右の銘である「まあええかは魔法の合言葉」を唱えながら置いといたら、オクラにアブラムシがつく前にムギクビレアブラムシとアブラムシの天敵を呼んできてくれた。一応通路に麦播いてたんやけど、4月上旬の長雨でうまいことでけんかったんよな。助かった。






 この麦は収穫前に刈ってそのまま通路に敷いた。なんと便利なワンストップdeソリューション。わしこれを「半耕起農法」と名づけて地域とか日本とか地球とか救おうと思うんやけど、どうやろか。とりあえずはアブラムシの防除代だけわしの財布を救ったんやけど。


   

Posted by kazuzo at 22:44Comments(0)野菜

2014年11月14日

神々の誤発注

 ブロッコリー取っりょる。

 ああ、前回更新は植え付け前やったなあ。ちょっと間で乾燥きつくてアブラムシがわいたりしたけど、順調すぎるほど順調に生育して10月の20日過ぎから収穫開始。




 採り始めなんかは生育良すぎて、農協の出荷箱に入らんやつなんかもあるんな。そういうのは直売所のお客さんに買うてもらうんやけどな。



 シールは仮。「まあごりっぱ」ブランド。ええと思わん?茎が太くて、カ…花蕾も盛り上がっとって。そしてちゃんと硬い。香川県産ブロッコリーの規格は統一してちょっとでかい。それでも箱に入らんのがでける。でかい玉をきっちり作るためにはそりゃもちろん窒素を効かさいかんのやけど、窒素を受け止めるだけの骨格がいる。そうでないと細菌病や生理障害がでるきんな。生育後半にちゃんとカルシウムとホウ素を効かせること。それができてこその「まあごりっぱ」である。「まあごりっぱ」の旬は1月2月やな。茎が最高に太うなってしゃぶりつきたくなるほどに甘い(皮むいてしゃぶってな)。

 「まあごりっぱ」協議会では生産者を募集しています。みなで一緒に成城石井やいかりスーパーの店頭でマダムにご試食いただこうで!スルフォラファン?言いにくい。辛気臭い。そんなことよりもやな、アホやなーと食卓で、レストランで笑うてもらいたいわけよ。

 ところで、秋冬ブロッコリー産地は生育順調、夏秋ブロッコリー産地も暖かくてダラダラ収穫でけてて、大バッティング。今すごく安いなあ、ブロッコリー。昨日からの寒波でさすがに高原ものは終わりそうやけど。市場価格にして普段のこの時期の3割くらい安い。円安とかむこうの不作とかもあってアメリカ産より安いきん、この時期に上物の香川県産ブロッコリーが県内スーパーで並っびょる。うれしいけど複雑やなあ。

 こればっかりはお天道さまのやることやきん、どもならん。言うならば天の誤発注やな。世の中誤発注はSNSで広めればさばけるそうやが。これも誤発注やきん、みんな精出して食べてつかよ~。中二病っぽく「神々の誤発注」ということでどうや。  


Posted by kazuzo at 19:38Comments(0)野菜

2014年08月18日

弱虫サドル

 梅雨があけたら香川県は雨除けハウス~とかよう言うんやけど、今年はいっとき熱中症で大変なことになる暑さがあったあと8月になると一転、台風二発にその後も天候不順となんじゃこりゃって感じやな。雨降らんでも困るけど降るときはどばあああああああと降るのが最近の傾向。それにしてもなあ。

 こんだけ日照不足が続くと作物には病気の心配せないかん。ムシムシして菌が繁殖しやすい条件の上に光合成できんきん吸い上げた窒素を消化できんで軟弱になるんな。稲に穂いもちの注意報と紋枯病の注意報。薬剤防除せないかんのやけど、天気が不安定すぎてできん。葉が濡れとったらできんし、防除後乾かんうちに雨に流されても困るきんな。今日やって昨日の時点では降らんいよったのに降ったやろ。ケイカル200kgぶちこんで硬く作っとるんがええのんか、今のところうちのは病気は見えんけど、はやいとこ防除したい。

 そんでも涼しいのを逆手に取って一番手のブロッコリーの定植を例年より一週間くらい早めてみようかと思いよんや。まんのう町のR32より北やったら、例年やと9月入ってからでないと高温障害が出てブロッコリーの花蕾がボコボコになったり、ブラウンビーズいうて蕾の粒が枯れてしまう症状が出るんやけど、この気温なら大丈夫。うまくすれば平地のわしも端境期商戦に殴りこめる。大雨のおかげで去年大発生したハスモンヨトウも少ないかもしれんしな。今のうちやが。

 いうても乾いてる畑は1/3程度。あとはおかゆ。とりあえず、その1/3にスプリンター(早生)2品種を配置して勝負。秋冬ブロッコリー早生品種のファーストリザルトラインはクリスマスや。10月から安定して出荷を続け、そんでクリスマス前に一気にスパート!ピークを最需要期のここに持っていけたら強いスプリンターとして讃えられるんやけど、最近秋が短い気候のおかげでクリスマスに合わせるの難しいんな。でも今年は様子が違うっぽいきんこれまた面白い。

 役目を果たしたスプリンターの想いを積んで、年明けからクライマー(中晩生)の発進やが。ここには3品種。立ちはだかる厳しい寒さの前でも確実に前に進む連中やが。1月から2月の安定出荷を担う。

 最後は4月のゴールを狙うオールラウンダー(晩生)3品種。冬の寒さを耐え、春の急な気温上昇にも焦ることなく堅実にきれいな花蕾を付けるのが役目。ゴールまで踏み切れっ!ドスっ!

 以上がまんのう高校ブロッコリー部のメンバーやが。

 とか気分よく弱虫ペダル風に紹介しとるけど、畑が乾かんことにはな。定植が遅れると3月に出荷が集中して、サドルにしてもええきん買うてつか~っていうことになってしまうんやが…。キモッ…( http://youtu.be/oQboX9_Qqy0 )。

そうなったらあれやな、ブロッコリーサドルの自転車でダンシングやスタンディングの技術を競うにぎやかしのイベントでもやっても面白いかもな。サドルに尻を下ろしたら負け。巻ちゃんのコスプレとか募集。


 スプリンターが駆る乾きのええ畑にはキノコ。緑肥のソルゴーを菌床にしてがいに育っとる。梅雨とか秋雨の頃にはよく見るんやけど、8月におるのは珍しいのう。









  


Posted by kazuzo at 19:38Comments(0)野菜

2014年05月30日

A Young Person's Guide to Young Corn

 ヤングコーン。ええ響きやな。ベビーコーンともいうけど、ヤングコーンがええな。ベビーリーフはベビーリーフでええと思うんやけど、コーンはヤングがええな。なんとなくやけど。甘酸っぱい感じがな。剣道部の部室の臭いとか連想…したらいややな。食べ物やしな。

 そんなわけで、明日からヤングコーンを夢ハウスに出すんやけどなー。きっかけ。つい最近、フェニックス顆粒水和剤がとうもろこしとヤングコーンに登録されたきん、よーしそれならやっちゃおっかなーと。今まではヤングコーンとコーンの両方に登録のあるアワノメイガを叩けそうな殺虫剤はBT剤しかなかったきんな。BT剤ってそりゃイモムシ以外の生き物に対する安全性は抜群でええんやけど、なんとて紫外線ですぐ分解してしまうきん、コーンを守ろうと思ったら何度もかけないかん。アワノメイガは茎や実の中に潜るきん、隙を見せたらごじゃはげなんな。

 フェニックスも負けず劣らずイモムシしか殺さないいい剤。それがわざわざヤングコーンなんていう市場規模のちっちゃなとこに登録してくれたんやきん、これを粋に感じたりもするんよ。登録の事情はわからんけど、どっかの意欲的な産地が持ちかけて安全性試験や効果試験に協力したんかもしらん。

 ただフェニックスはどうやら虫が抵抗性をつけやすいかもしらんのな。まだ発売から5年くらいしか経ってないんやけど、コナガとかハマキムシとかで…。まあアワノメイガは大丈夫やと思うんやけど、念のため連用は避けてBT剤も使う。

 ここで農薬登録の難しい話。同じ作物でも収穫部位や時期が違ったら農薬登録が違うことがあるんな。そんなわけで、スイートコーンとヤングコーンを両方取ろうと思ったら、BT剤を選択する場合、「とうもろこし」or「未成熟とうもろこし」orその上位分類の「雑穀類」、と「ヤングコーン」orその上位分類の「野菜類」の両方に登録が要る。BT剤とひとことにゆってもバチルス菌の株種がによって叩けるイモムシが微妙に違うきん難儀なんやけど、とうもろこしのアワノメイガで登録があればまあアワノメイガが得意ですってゆってるようなもんやきん大丈夫(BT剤としては)。ヤングコーン出荷してやろーっていうナウなヤングがおったら、BT剤ってこんだけあるんやけど、条件の合うのを見つけてみてつかな。わしはそのうち2剤を用意しとる。

 そんでBT剤散布して一週間、そろそろフェニックスの出番かなーと思いよったらもうヤングコーンでけとった。



 これの上のやつはスイートコーンとして出荷するぶん。2本目をヤングコーンにする。まだ小さくて茎に密着しとるきん取りにくい。勢い良くもいでもうたら茎に傷がいってしまうかもしれんきん、ハサミで丁寧にとらないかん。、






 うむむ、もうアワノメイガ入っとる。こんなふうに雄穂から茎を降りてきて実に入ろうとするんや。そやきん、雄穂も受粉が進んだらカットしてやったりしてアワノメイガの侵入を防ぐ。



 とりあえずホイルにくるんで焼いてみた。ほのかに甘くて美味い。新鮮なのは缶詰のやつとはやっぱり違うなあ。



 そんな話を書いた冊子を調子に乗って頒布しとるのでよかったら手にとってみてつかなー。



  


Posted by kazuzo at 20:40Comments(0)野菜

2014年05月12日

オクラでっきょる?

 GWに毎年の恒例、オクラの余った種で作った苗を夢ハウスで売っりょったんやけどな。去年からオクラのつくり方の冊子を配布しよるん。去年は表紙カラーのA4で8ページ折り本を作った。でもこんますぎてあんまり手にとってもらえなんだ。コンパクトでええと思ったんやけどなあ。今年はA4で出力したのをコンビニコピーでA3に拡大してそれを折る。カラーは予算の関係で無理。A3を折ったら文庫本サイズのA6。これええなあ。苗25ポットに冊子21部全部持って帰ってもろた。ばんざーい。




 ええな、文庫本サイズ。調子に乗って可能性を感じているよ。こんなん使うと簡単にでけるよ。

 オクラといえば先行争いしよるぶん。その後どうなったかというと花芽がついた。ちょうどGWに買うてもろた苗よりひと月早いと思ってもろたらええかな。

 

 今月中に取れそうやな。これはええな。とはいえええことばかりでなくて、2割くらい枯れちゃった。ジフィーポットは確かに植え傷みしないんやけど、肥料っけのない培土を使ったり、地温が低くてポットの分解が遅れたこともあって、根が外に出てこれなくて弱ってそのうちに立枯てしもうたんがあったんやが。そんな感じがしたきん慌ててアミノ酸とか、亜リン酸とカリの葉面散布をしてテコ入れ、なんとかものにでけたみたい。オクラは最初肥料イラネがセオリーやけど、地温が低い時期はちょっとはないと元気がでんなあ。

 そんで先行争いしないぶんは4月の14日に播いてべたがけ。今日の雨の前にべたがけをのけた。これもおおむね順調やけどネキリムシが結構株元をマミってしもうとる。だめでしょベベちゃんおいたしちゃ。





 ネキリムシって越冬して潜んでおることもあるんやなあ。教えてもろた。

そんなわけで補植せないかんのやけどジフィーポットの反省を踏まえつつセルトレイで補植苗を育苗してみた。某産地の例を参考に50穴ポットに5粒播き。普通のセル培土を使ったらうまいこといくでないか。苗はちょっと徒長したけど。




 本葉が一枚ちょろっと出て、根が根鉢をしっかり抱えて崩れないくらいがええ塩梅みたい。根鉢が崩れたら根傷みするきんな。オクラは根傷みにがいによわい。来年の先行争いはこれでやってみようかな。培土がようけいるきん72穴でもええかもなあ。



  

Posted by kazuzo at 19:23Comments(0)野菜

2014年03月24日

先行争いは夏野菜と競輪の華やが。

 ブロッコリー収穫の中休み。気温がじょんじょに上がってきたなあ。ブロッコリーの畑の片付けしたりリーフレタスとかスイートコーンとかかぼちゃとかの種播いたり、お彼岸のお花出したりしとったが。

 夏の果菜はだいたい苗買って育てるけど、オクラとコーンとかぼちゃ(品種内緒)は自分で苗立てたり直播きするんな。苗を買うかどうかは苗の値段と種の値段、それと育苗の手間とか難易度とかを勘案して決めるのであるんやが。

 オクラはごぼうみたいな根で、苗を移植するの難儀なきん、直播き基本。でもこれがしんどいんな。目の前に並んでくれとるポットなりセルトレイに種播いていくんやったら人間様はいごかんでええきん楽やけど、畑に直播きいうたら這いつくばってじわじわ動きながら播いていかないかんきんな。播いたあとの水やりやって、育苗やったらジョロに1~2杯もあれば終わるけど、畑やったらホース引っ張って一穴一穴水をやっていかないかん。

 そんなわけで今はオクラは畑の下ごしらえしよるときなんやけど、そんな中突然鳴り響く打鐘の音!いや、銅鑼や!高知競輪は鐘やなくて銅鑼やきんな。え、なんのことかって?高知でオクラを精出してやっりょる若者がオクラの苗を立てよるという話がインターネッツを通って山の向こうから伝えられたんやが。即座に反応して仕掛ける高松スイートコーン界の若きプリンス。高知と高松で先行争いが始まってしまったが…。オクラの移植栽培はほんと定植に気を使うけど、成功すればだいぶ手間を省けるし、楽に早出しがでける。それに、まだ冬野菜やっりょってオクラの畑の準備ができてなくてもとりあえず種播けるのはええよな。

 さて、それを見ながらわしはあわわあわわとやっりょったんやけど、わしやってオクラ屋やが。血が騒いだ。かといってわしもそれなりにベテラン。移植栽培のリスクは知っとる。というかわしこんな商売やっりょるけど手先が不器用で、オクラの移植ちょう苦手なんやが…。泣かせたおなごはそんなにおらんけど、枯らせたオクラの補植苗は数知れず…。

 そこで策を巡らせる。ちょっとコストはかかるけど、あれを使うか。

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 ポットのまま定植でけるポット。これやと植え傷みはない。ピートモスででけとるきん、植えたらそのまま土に馴染んでくれて根も飛び出る。もっともオクラで試したことはないんやけどな。いや、正確にはあるんやった。これで何年か前に補植用の苗を育苗しよったんたけど、これ、ポットの上面だけでなしに横っつらからも水分がどんどこ蒸散するきんなんとて乾きやすいんな。オクラは気温が上がって実がつきだしたらよいよがいな強い野菜やけど、苗の時期はほんとデリケート。過湿でも過乾燥でも立枯れ病にやられる。うっかり乾かしすぎて枯らしてしもた。ほんだきん、枯らさんためにはミストと同時に時々底から水を吸わせてやらないかん。結局めんどいな。まあええわ、追撃開始じゃ~こりゃ捲れ~。






 あ、丸いほうはあとで買ったきん、まだ芽が出てないんな。これは専用のトレイが横面を抑えててくれるきん乾燥しにくいという利点があるよ。奥に見えるのはコーンやが。コーンも今年はちょっとはやめに仕掛けているよ。おりゃおりゃおりゃ~。


   
タグ :オクラ


Posted by kazuzo at 20:24Comments(0)野菜

2014年03月09日

ぼくのかんがえたさいきょうのぶろっこりー

 サマードームくらい吸肥力があってー、 すばるくらい大きな側枝花蕾がようけ出てー、グランドームくらい花蕾の高さがあってー、美緑408くらい豊満でー、ベルスターくらい花蕾の味がよくてー、盛緑180くらい茎がやりこくて甘くてー、グリーンキャノンくらい根こぶ病に強くてー、美緑410くらいべと病に強くてー、で、名前がこれ。「あなたを導く円環の理」っていうマンションのチラシみたいなキャッチコピーで売りだそうで。え、ニッチ?ごめんなさい。

 ほんでも実際、そんなさいきょうのぶろっこりーってないんな。どれもええとこもあるけどあかんとこもある。みんな違ってみんなちょっとよかったりちょっとダメ。ええとこと欠点がトレードオフになってる場合もある。

 ブロッコリー秋冬収穫も最終盤。最近採っりょるのは某社の名前がまだついてない新品種なんやけど、うん、確かにええもんがでける。葉が最後までようけ出てそれがしっかり光合成して花蕾を充実させつつ、花蕾をくるんで寒さからも守る。




むいたとこ。




 ところが今年のこの雨とか雪の多さ。思わぬことが起きた。他の品種は花蕾が大きくなるにつれて葉も開いていくんやけど、こいつは収穫段階まで葉が花蕾に密着しておってくれるんな。そしたら花蕾と葉のとこに水が溜まる場所がでけてしもうたんや。そんでそこに病気が発生しよるのがちらほら。これは今までになかったパターンやなあ。だいたい花蕾の病気が出るんって、前にも書いたけど、花蕾自体のくぼみとかやったきんな。まあこの初めて作る品種、ちょっと定植するんが遅かったなあ。物はええきん、もっと早めに定植して、そんで最後の追肥を控え目にするとか、葉にくるまれてる期間が長いのを利用して、カルシウムの葉面散布とか細菌病の殺菌剤をちゃんとやっとくとかすべきやなあ。どうも花蕾自体も病気に弱そうな感じ。色の感じが、アントシアンレスってゆって、寒さや強日射でもあんまり赤くならん系統の血がちょっと入っとるっぽい。その手の系統は花蕾の窒素の割合が多くなりがちで、そしたら病気にやられやすくなるんな。アントシアンが出たら等級がひとつ下がるんやけど、アントシアンを避けようとすると花蕾につく病気のリスクが増える。難儀やのう。

 アントシアンはそろそろ赤ブロッコリーとか紫ブロッコリーということでこらえて欲しいが。ああ、品種によってはピンクっぽい色が出るのもあるなあ。ひなまつりにどうやろか。


 そんなわけで万能ブロッコリー、完璧ブロッコリーなんてのはないんやけど、ええとこ伸ばして欠点を栽培管理でカバーするのが百姓の腕の見せ所やな。F1品種でええとこどりーとか言われるけど、ブロッコリーほぼみんなF1やけど、ええとこばかりでありゃしないーやきんな。そんなうまいこといくかいな。相手は地球の気候やのに。





 最近がいに寒いのう~。この寒さは想定外やったけど、ゴールデンウィークを狙うばくちブロッコリーは不織布トンネルの中でなんとか耐えとるがー。あと2,3日の辛抱やで。
  


Posted by kazuzo at 18:47Comments(6)野菜

2014年02月14日

雪がズブズブじょんならん。

 先週末といい今日といい、がいに雪が降ったのう~。ほんま参るわ。雪だるまが余裕ででけるような雪は子供の頃以来と違うやろか。それが二週連続やきん、びっくりやな。



 これは今朝のニンニク畑の様子。暖地系の上海早生やのに福地ホワイトみたいなご無体な目にあいよる。そんなこというたら青森の農家に怒られるな。福地ホワイトはこの時期ずっと雪の下と聞く。おかげで春になるまで防除せんでええらしいんやけど。ところがこっちは雪とその後の過湿による春腐病がこわい。2月頭にぬくかったきんそんとき肥料を吸って結構肥大して一時的に軟弱な感じになっとる。そんなわけで前回大雪前にコサイド3000っていう銅剤と今回大雪前にアグリマイシンっていう抗生剤。今年はそれまではあんまり防除いらんかったんやけど、なんとて正念場やきんな。

 ブロッコリーはまだ採る前のやつで植え付けが遅れたぶんは結構雪でダメージを受けてしもうた。収穫でけんのも結構出そうやが。うむむ。まあ高松競輪なんかこの雪の影響で売上げ10億くらい減らしたきんな。それに比べたらマシやがと自分を納得させる。しかし23年ぶりの特別競輪楽しかったな。高松競輪の3コーナースタンドからはこんな景色も楽しめるよ。




 農業もおてんとうさん相手にバクチ打っちょるようなもんで、払い戻し率75%の競輪と同様、勝つのは至難の業やけど、バクチやと思えばヒリヒリして楽しいな。バクチの大事なコツのひとつ、負けをいつまでも引きずらない。さ、次の勝負。前にも書いたゴールデンウィーク採りブロッコリーやが。

 雨や雪が多かったけど、この前の大雪の前日に重い土をなんとか畝立てして、そんで昨日、なんとか畝上の水分がええ塩梅になってくれたきん、元肥をふって畝上耕耘して、そんでマルチを張った。マルチで地温を上げてやってそれを不織布トンネルでキープする作戦やが。




 夕方作業が終わって西のほうを見るともうこんぴらの山はこんなんやったが。危なかったな。




 これで定植予定日に植わりそう。雨や雪の多くてしかも乾かないこの時期、遅れだしたらずーっと遅れてしまうきんな。さあ張るで。農村博徒の末裔の血が騒いで仕方がないが。  


Posted by kazuzo at 19:18Comments(0)野菜

2014年02月02日

ブロ屋の本分

 「リスコミの学校」っていうタイトルで、ここ3年間くらい考えてたことを産婦人科に10ヶ月一緒についてった経験を通して書こうと思ってはや一ヶ月。でもわし農家やきん、たまには野菜のこととか書いたほうがええよね。リスコミの話は一ヶ月検診が終わってからにしよ。

 そう、ブロッコリーが安くなっているよ!!先週日曜日くらいからぬくーくなったきんなあ。とどめは今日の18℃。そして今晩の夜温も10℃切らないとか。明日の昼からはまた寒くなるそうなんやけどな。思えば去年の2月2日は23℃あったきん、まだマシやな。あれはエグかったなー。

 というわけで精出して食べてつかな。この時期は旬で美味しいし、寒さで止まってた早生品種と中早生、あと中晩生のハシリがいっぺんに市場に出てくるきん、いろんな品種の食べ比べがでけるなあ。茎の太いんが本来のこの時期のやつのことが多いけど、細くて寒さで花蕾が赤うなった早生のも微妙に甘くて美味しい。トマトみたいに他の野菜も食べ比べを楽しんでもらうためには生産者も材料を提供せないかんなあ。

 うちで今採っりょるんは、中生の「グリーンキャノン」「美緑408」と中晩生の「グランドーム」。大きな違いは食感かなあ。グリーンキャノンはよく締まってて煮崩れしにくい。美緑は花蕾の粒が大きくてホクホク感を楽しむのがええのと違うやろうか。

 


 これ、グリーンキャノンの畑。写真がちっちゃくて見にくいんやけど、手前のほうはほぼ採ってしもた。奥のほうはまだ葉がようけ残っとるやろ。でも植えた日は一緒。なにが違うかというと、遅れてるところは植える予定の何日か前にお隣りの田んぼの用水路が詰まって溢れて水をもろうてしもうたんや。水はけがええほうの畑やけど、さすがにじゃぶじゃぶと流れてきたらちょっとやそっとでは引かん。2,3日様子を見とったんやけど、次の雨マークが見えてきた。今年の9月は雨が多くて定植苦労したんな。さあどうしようか。雨の前までにはかろうじて植わる程度の乾きしか期待できそうにない。かといって雨もろたら1週間は遅れる。この品種は寒さに弱いきん定植が遅れるとよいよあずるんな。えいやあで雨の前に植えた。水もろてないところを活かさないかんきんな。この雨がまたえぐい雨やったきん目論見は成功。しかし水分過多のところは案の定根張りイマイチで生育悪い。そこだけ二回鍬で丁寧に土を株元によせてやった。そしたらそこからまた新しい根が生えてくるきんな。おかげで、遅れたけど、なんとかええのが取れそうやが。あーよかった。しかしきれーいに違いが出るもんやなあ。

 雨が多い年に痛感するのは、いかに生育初期に土の適湿を保つかってことなんな。水分多くて根が傷むと後々困る。病気も出やすくなる。そやきん、ようけ降った雨を、地面にあんじょう浸透させるのはもちろん(透水性)、水が溝をスムーズに流れて畑から出ていってくれるようにしとかないかん(排水性)。うまく排水される畑って若い頃土木の経験が豊富なおじいさんの畑が多い。わしこれ苦手分野。でも大事なんな。これは渥美半島歩いてみても感じたこと。今年のテーマは畑の土木建築やが。



 
   


Posted by kazuzo at 18:42Comments(0)野菜

2013年11月14日

ベトコンハウスの作り方

 徳島名物なんじゃろかの~。すだち?渦潮?フィッシュカツ?金長まんじゅう?小倉竜二のハンドル投げ?それらもええけど忘れちゃいけないもんがあるんやが~。

 それはベトコンハウスやが。

 え、なんのことやら分からん?そらそうやな。ゲリラが住んどる家ちゃうで。ビニールハウス。いや、トンネルかな。どっちかな。要するにそれらのあいの子なんや。ちっちゃいビニールハウスとも言えるし、トンネルのおばけとも言える。なんでベトコンハウスっていうかというとベトナム戦争の頃に考案されたからとか、コストかけずに早出しゲリラ作物用やからとか、狭いきんとかいろいろ言われとる。ところで80年代生まれの若者たちはわしがベトコンベトコンってゆってたら、それをベストコンディションの略やと思ってたそうやが。ベトナム戦争を知らない~子供たち~さ~♪いやわしも戦争終わって半年後に生まれたんやけどな。

 冬から春にかけて徳島の北のほうの野菜地帯行くとな、畑に巨大なトンネルがモリモリと建っとる。中には人参。暖かくなるにしたがって被覆してあるポリに穴を開けて温度を調節していくんな。その辺ワイルドやなー。ここではベトコン「ハウス」と言いながらトンネルっぽい使われ方がされとる。



 一方で、ドアとかつけて文字通りハウスのミニチュアのようにして果菜類を作るというのも聞いたことがある(ベトコンではないけど似たような例PDF)。ハウスとトンネルの間で、自分の作る作物やスタイルに合わせて無限のバリエーションが楽しめるんやが。これがベトコンハウスのおもっしょいところやなあ。さあ作ってみよう。


 徳島でパイプがこんな感じに売られとる。大手ホームセンターで普通に売られるベトコン。


 ゼオライトとか籾殻とか苦土石灰とか入れて耕して、測量。


 軽く溝を掘って、30cmの深さにドリルとか穴あけ棒で穴あけてアーチパイプを刺していくよ。わしは60cmピッチにした。ベトコンハウスの骨組みは基本はアーチパイプのみ。後ろに見えるのはオヤジの趣味のハウス。これを風よけにする。





 補強のための直管パイプを天井とサイドに3本通して固定する。



 夏もハウスとして使うつもりにしとるきん、サイドにネットを張った。お金をかけたくなかったきん納屋にお蔵入りになっとった0.6mmネットを使ったけどこれでは夏に温度が上がりすぎるかもしらん。



 ポリフィルム張った。6m幅で少し余ったきん、570cmでもよかったかもしらん。



 妻面はトンネル風にしたけど、使いながら変えていくことになるとおもう。


 
 中はこんな感じ。間口3m、高さ170cm、長さ24mのベトコンハウスがでけた。直管とかネットとか小物とかはお古を使ったきん7万円ちょっとで建った。お手伝いくださった二人のおやじさん、ありがとうございました。半日集中して3人で骨組み作ってあとは仕事の合間に2日でちょこちょことネットやポリ張った。慣れたら設置も撤収も一日ででけそう。え?モ○イルハウス?知らんなあ。



 最初のお客さんがこいつでよかった。



 とりあえず一番寒い時期目がけて葉物野菜を作るがー。あと春大根とか。夏は考え中。夏に向けて変形するかもしらん。前々自力自在に臨機応変。あとは土をごじゃにせんように気をつけて。良いベトコンは野菜がようでけるベトコンやが!  


Posted by kazuzo at 20:10Comments(6)野菜

2013年10月16日

いもむしもそろそろおさまってきた頃やけど。

 雨が降って寒うなったなあ。いもむし勉強会の報告が遅れてごめん。ニンニク定植準備とか遅れ気味やったブロッコリーの管理とかにてんやわんやでなかなかブログ書く余裕がなかったがー。ニンニク無事植え付け終わったし、報告するな。

 7日の月曜日にやったのは、多分その前の土日がヒノヒカリの稲刈り最盛期で、月曜日はその後の一服かなあと思ったんやけど、雨で裏目ったな。農家の予定を何週間も前に予測するのは難しいよ。おてんとうさま相手やきんな。いっそのこと日を決めて定期にしたほうがええのやろうか。

 資料に簡単にメモしたものをうpしとくな。手抜きですまん。クリックすると拡大するよ。







 補足の話。

 最近の現代農業誌にも載っとったけど、最近の野菜の対いもむし戦線はジアミド系殺虫剤無双。今んとこ日本で登録されとるんはフェニックスとプレバソンな。中でもプレバソンは苗に潅注処理で4週間いもむしを抑えるという触れ込みで一気に普及した。まあこれほんまに助かるきんな。今までは定植してから2週間くらいでいっぺん防除せないかんかったけど、それをせんでええようになった。しかもそれまでの定植時粒剤処理よりもいもむしをきれいに抑えた。1回防除をカットできるということは10aあたり1×2時間人だけ労働力を減らせる。ようけやっりょる人には大きいな。

 でも使い過ぎるとどんどん効かなくなるのは農薬の常。これは医療用抗生物質も一緒やけどな。プレバソンが効かなくなると困るきん、わしは潅注処理でしか使わない。フェニックスもひょっと交差抵抗性があると困るきんなるべくブロの時期には使わない。そしたら何使うかというと、IGRとか最近やったらアニキとかアクセルとかの新規剤。IGRっていもむしがコロリと死なんのな。脱皮をごじゃにする剤やきん。そやきんいもむしが農薬でコロコロ死んだ時代を知っとるおじいさんたちにはあんまり人気ないけど、効くやつはちゃんとよう効くよ。翌日に死んでたらまあええでないか。大きな虫がおったら死ぬまでにまだ葉を食うかもしらんきん、なるべく早期にやる。プレバソンの効果が切れる2,3日前にやっとくと効果的。卵にも効くしな。

 レジュメにも書いたけど、雨の合間に無理から植えてその後の定植にかまけて管理がおろそかになった圃場では、今年の暑さが合ったんやろうか、土が締まって調子の悪いブロッコリーの間にアオビユががいに生えて、そこに今年大発生したハスモンヨトウが産卵。ヒユを食って大きく強くなったハスモンヨトウがブロッコリーを食って、まあプレバソンが効いて死ぬんやけど、大きくなっとるきんすぐには死なんでそれまでに結構食っちゃうという被害がでた。こらどいや~。自分への戒めのためにも恥をさらしとくわな。こういうことしてハスモンヨトウをひょっと撃ち漏らしてしまうと抵抗性系統の発達に繋がってしまう。わしのバカ!下のは卵塊から這い出せ!ハスモンさん、な。





 あと、今年はハスモンヨトウとシンクイムシがようけおったんやけど、圃場によって優勢な虫が違うのも面白いな。いや食われるきん面白くはないんやけど、いやでも面白いな。シンクイムシはだいたい暑い9月半ばくらいまでの虫やったんやけど、今年は10月はじめまで出た。こらえてほしいわ。


 さて、ここからは紹介した本のリンクを貼る趣味と実益のコーナーです。植物の病害虫図鑑はまんのう町図書館にはほんまに充実しとるきん、町内および近隣の皆さんはぜひ利用してな。困った住民を助けてこそ図書館やきんな。

イラスト 基本からわかる病害虫の予防と対策

イモムシハンドブック

イモムシハンドブック 2

虫の卵ハンドブック

天敵大事典―生態と利用

農山漁村文化協会
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ほんとうの「食の安全」を考える―ゼロリスクという幻想(DOJIN選書28)

沈黙の春 (新潮文庫)


 『沈黙の春』については以前書いたよな(参照)。レイチェル・カーソンは今から50年前にIPMについて論じていたという側面から再評価したらどうかと思うんな。結局どんな防除手段も万能ではないんやけど、いろんな手段を使って、複雑にからみあう環境やらなんやらと折り合いをつけていこうってことなんな。もし万能をうたう方法や資材があったら、それは疑ったほうがええでという話で会を締めたんや。世の中には万能をうたって人を騙したり、よりよい手段へのアクセスを邪魔して困らせるもんがときどきあるきんなあ。ほんまに。困るよなあ。今度高松の農協でイベントやるアレとか。そのことについては次の記事に書くよ。  

Posted by kazuzo at 20:46Comments(0)野菜

2013年09月29日

お粥もしくはもんじゃ焼き。一生勉強。

 ブロッコリーの植え付けもいよいよ終盤戦。あと10aを残すだけになったが。とはいえ9月の初旬の長雨で予定が狂って押せ押せでやったきん、雨降る前に畝立てといてとりあえず植えとけーって植えたとこなんか草でごじゃハゲ。定植一段落したきんようやく今日からフォローをはじめたとこなんや。

 10aを残すだけと言うても植える畑は当初の予定と違ってしもうた。長雨にあった際、今年借りた大きな畑が、水が全然引かんであずったんやが。広い畑やきん、排水は確かに悪い。それにしてもなかなか引かん。おかしいなと思って長靴履いて畑に入ってみるとズボズボズボズボーって足が入って、30cmくらいんとこでコッツーンって止まった。どこを歩いても鉄板の上にじゅるじゅるの土とかソルゴーの滓とかが乗ってるような状態。お粥という例えを教えてもらったけど、もんじゃ焼きでもいいかもなあ。しかしそんな呑気なことをいうとる場合ではない。とりあえずレンコンならともかくここにブロッコリーは植わらんということで植える予定のなかった水稲跡の畑を代替地として急遽準備して定植。もんじゃ畑は最近の日照りでだいぶ乾いたきん、ついさっき、排水のよさげな10aだけなんとか作付けできるまでにこぎつけた。そんなこんなで9月を終わろうとしておるのです。


土と施肥の新知識
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 今年の春に読んだ土壌肥料の本にこんな一節があった。

土壌診断は生産者自身が(中略)穴を掘ることからはじまる。作物の根の気持ちになって穴を掘ることが大切で、作土の部分は掘りやすいが、トラクターの走行による圧密で下層が緻密になっていることが多い。そのような畑やハウスでは作物が根を伸ばすのに苦労する。すなわち、生産者自身が額に汗して穴を掘ること自体が土壌診断であり、作土の化学分析は土壌診断の単なる一部に過ぎない。


 後藤逸男先生によるこのアツい文章読んでちょっと感動したんやけど、なんでわし、ちょうどこの本読んだ頃に借りた畑でちゃんと穴掘りせなんだんやろ。スコップで10cmほど掘って簡易な化学分析をしただけやが。情けないなあ。とほほ。オラ、アツくないよね!こんなことでは土壌医検定2級「土づくりマスター」を返上せないかん。

 こんなわしにお勧めする資格があるのかどうか分からんのやけど、第二回の土壌医検定の受験申し込みが始まっているよ(参照)

 第一回目の試験後の新聞記事によると受験者にお百姓はあんまりおらんで農業関連企業やJA、普及員さんが多かったそうなんや。わしが受験した神戸会場でも確かにそんな感じやった。でもお百姓も積極的に受けてみたらええんと違うかなあ。百姓もプロやきんな。業務検定くらいあってもええんとちがうやろか。もっともわしみたいに実際の畑で痛い目にあってみんと分からんボンクラもおるわけやけど。試験があると思えば教科書も真剣に読むし、勉強になるよ。今年は岡山会場があるきん香川のみんなも受けやすいな。

 ほんでその前に、さしあたってのお勉強会の話。正式な告知が遅くなってしもうたんやけど、10月7日(月)10時からこの前と一緒のまんのう町図書館多目的室で「いもむし相談会」と題してお勉強会をします。今年はハスモンヨトウとかハイマダラノメイガの当たり年っぽいしな。クリックして拡大↓



 このイモムシなんていうんな?というのもたのしいな。よかったら虫かごに入れてもってきてつか(多目的室内のみということでOKもろた)。


 今、図書館ではこんなのもやってるよ。↓秋の夜長は本読んで、そんでお昼は気持ちいい空気の中、畑をしようで。

 
 
  

Posted by kazuzo at 19:46Comments(0)野菜

2013年09月07日

内職の秋。

 一ヶ月もブログ書くのが空いてしもうた。今年の夏暑かったよなあ。それでバテたのもあるし、この間いろんなところ特に公的なところとか準公的なところでブログ見とるブログ見とると言われて下手なこと書けんなあと思たのもあるんかもしらん。別にたいそな事書かんでええと思うんやけどな。書かれへんし。

 ちょっとたいそな事書こうと思ってたネタはあって、まあがいに暑かったし用水路に水もこんで、先月の下旬なんかコシヒカリもヒノヒカリもどうなるんかなって感じやったんな。高温障害が例年にも増してひどいんと違うかと。そんで丸亀平野の稲作りをその外部経済をちゃんと計量しつつ再考みたいなこととか水の豊富な綾川流域のおいでまい軍団がんがれとか。ところがどいや、雨ががいに降ってヒノヒカリの田んぼには水がまんまんと。おかげでうちのコシヒカリは刈るのが遅れ気味になっりょるけどな。ヒノヒカリは高温障害よりいもち病を心配せないかんようになった。みんな気いつけてな。

 そんでやが、雨ががいに降ったら、野菜の植え付けが困るがな。まだ全体の1/8しか植わってないのに明日も雨とかいいよる。参ったなあ。お天気は最近極端やな。畑いろたら今度乾いたときに困るような状態あるいは、すぐに雨に降られたら困るきん、いろえん。こんなことやったら、芋虫の会をこの時期にセッティングすればよかったのかなあ。まあええか、東北の芋煮会に合わせて10月にやるか。そんで明日のまんのうの新しい体育館でやるNHKのど自慢もこの時期忙しいはずやきんって、予選のハガキも出さんかったんやけど(一昨年の丸亀大会は出して、抽選もれ)、こんなことやったらハガキ出すんやったなあ。野良着で「ごはんはおかず」歌ったらウケるかなあとか考えとったんやけど。まあええか。

 そんなわけでなにしよるかというと、ひたすら出荷作業以外は作業場で来月植えるニンニクの種割り。こういうときにでもやっとかんと、いつも10月に入ってから焦ってやるはめになる。

こんな感じで中国からやってくるのを


手で割って


 大中小扁平に選別する。大きいほうが初期生育がよろしくその後もスタートダッシュに任せて大きく育つので選別してその後の肥培管理をしやすくするんやが。あと、小さい種は温度のようけ上がるマルチでテコ入れしてやって、そんで、乾燥で目減りしない生出荷用にしたり。扁平は葉ニンニク用。全部で150kgある。

 天気を気にしながらの内職生活。早く畑を耕したいんやけれども焦っては事を仕損じる。とはいえ、今朝の雨が無ければ、明日降らなければとブツブツ考えながらやきん、あんまり悩まないようにややこしくてうるさい音楽でも聴きながらやるのが吉。明日はどっちや。作業場か畑か。畑がいいな。  

Posted by kazuzo at 19:20Comments(7)野菜

2013年05月25日

生ニンニク最終兵器あるいはネギ科の神秘

 一ヶ月以上にもわたってニンニクにかかりっきりやったんやけど、火曜日水曜日で全部抜いてしもうて乾燥室に放り込んだ。なんとて暑かったきんな、暑いときに出る白絹病という病気のカビが蔓延しそうやったきんちょっと早いかなと思いつつ抜いた。ふう、ようやく一段落。

 と思ったらまだあった。オヤジがわしのニンニク畑の片隅に植えて、一緒に管理しといてと、居候しとるジャンボにんにく。こいつを今朝抜いた。ジャンボにんにくはちょっと晩生なんやけど、この畑は田んぼに戻す予定やきんな、時間切れにつき抜き取り。



 でかいよでかいよ玉ねぎくらいあるよ。ニンニクの臭みは控え目きん苦手な人でもサクサクホクホク食べられるよ。



 ん?なにこれ。ニンニクのおしりにくっついてたり、皮の間に挟まってたりしたよ。



 そんで、そのちっこいのを植えたらこんなんができたらしい。

 大きさを比較してみる。



 鱗片が一個の球。先が尖ってて、フルーツトマトあるいはディフォルメされた桃みたい。ももニンニクとして売りだせばーと皮算用するけど、お味はどんなんやろうか。鼻を近づけるもニンニク独特の臭いはしない。切ってみる。



 水分が多く、瑞々しく、ニンニクの風味は全然しない。あれ?ニンニクって、葉ニンニクもニンニクの芽も、もちろん鱗片も、どこ切ってもニンニクの風味がするのにな。それどころか青臭い。あんまり美味しくなさそうなネギの臭い。あかんやん。

 実はジャンボにんにくってニンニクとは別の種なんやてなー。今回調べて初めて知ったがー。ウィキペディア:ジャンボニンニク

 ネギ科の分類は難しい。ちょっと見ん間に変わっとることもあるし、今でも議論が絶えない。覚えようと思ったこともあるけど、無理。分類学って難しいね。でも、世の中のあれこれを整理してくれる人がおるおかげでわしらが助かる。ありがとうさん。
 
 そんなわけで、今年最後の生ニンニク、ジャンボなやつを土日夢ハウスに出しとるきんよろしくなー。こっちはちゃんとほどよいニンニクの風味があるよー。

 
 ところでこれはなにかというとなんでしょう。↓



 これは3月に種を播いた玉ねぎ。ちっこいがな。こんなん食べがいがないがなと思うやろ。違うんやが。これがまた種になるんやが。今の時期にいったん掘り出して、乾燥させて秋にまた播く。そしたらそれが芽を出して葉を出して、再び球をふくらませて、12月とか1月に新たまねぎが食えるというなんというネギ科ミラクル。クルクルミラクル。ミッミッミラクルミックルンルン。ネギ科は繁殖方法も変わっておれば、ピリっと辛い辛味成分や、あるいはスイセンやヒガンバナのように毒を持っとるもんもおるし、なんとも一筋縄ではいかんのやが。面白いなー。
   
タグ :ニンニク


Posted by kazuzo at 20:12Comments(0)野菜

2013年03月08日

葉を食べるか芽を食べるか。どっちも食べたらどうやろか。

 今なんしょんかと言うと相変わらずブロッコリーを精出して取っりょる。一気にぬくうなったきんあほみたいにようけふくれて、収穫が追いつかん。それは全国の産地どこもおんなじらしくて一時若干持ち直しとった市場のお値段は急降下。ほえええ。みんな、精出して食べてつかよ~。ブロッコリーサドルやるんやったら今やで。学生の皆さん、卒業前のモラトリアム最後の思い出にどうですか。ただしもろた人はちゃんと食べてつかよ。今頃のはボリュームがあってほんと美味しいよ。



 と同時にお昼からは収穫が終わったブロッコリーに苦土石灰ぶっかけてトラクターで土と和え物を作る。誰が食べるか。そこに霜の心配がなくなったらソルゴーの種を播くやん。ブロッコリーが吸いそこなった残りの肥料や、残った葉茎の分解したもんがソルゴーの肥料になるんや。それでブロッコリーモードになっとった土壌の微生物の様子を一端リセットしてやったり、ソルゴーを鋤き込むことで土の中に有機物を大量に供給してええあんばいにしてやる。そのええあんばいんとこにまたブロッコリーを播く。

 ブロッコリーやナバナは植物の芽の部分をいただくお野菜やけど、葉や実をいただく野菜に比べたらどっちかというとそっちは少数派なんかな。でも最近各地の郷土野菜で芽をいただくものをたまたま知る機会が相次いだんや。

 前橋市のこれ、幻のアブラナやって。美味しそうやなー。すかさず「田口菜 種 価格」で検索。種を売っとるネットショップを探すときのテクニックな。ところが出てこない。さすが幻やなあ。現地で分けてもらうしかないみたい。

 秋田県にはフクタチという野菜があるんやけど、これは白菜をわざとに肥料なしで育てて出てきた芽を食べる野菜だとか。肥料なしだと花芽分化は早まり、トウが立ちやすくなるきん理屈やなあ。今年は寒くて結球できんかった白菜をいっぱい作ってしもうたきん、わしも食べてみようかなあ。

 こういう、芽を食べる用の野菜はそういうもんやきんそれでええんやろうけど、葉を食べる野菜に芽が出ると、それは「トウが立ってしもうたがー」ということになるんよな。日本の商慣習上では売り物になりませんという宣告。それがトウ立ちなんよね。葉物はまだそんなに味に影響するわけでないけど、大根とか人参は味や食感が目に見えて落ちるのでダメ絶対ダメ。ちょうど今頃、秋に植えて冬を越した野菜がどんどんトウ立ちする時期やきんな、収穫する側はガクガクブルブルなんや。

 でもさっきの白菜みたいな発想の転換はあってもええような気がするなー。というのは2年前から思ってて、それはNYの一番賑わってるグリーンマーケットで、元来葉を食べる用の野菜のトウの立ったんがいっぱい売られとるのをみたきん。



 トウが立ったきんってほうってしまうのも勿体無いしなあ。勿体無いだけでなしにそのものに価値もないといかんとは思うんやけど。というわけで、今日収穫したサラダ水菜にまことに遺憾ながら立ってたトウをかじってみたんやけど、これが苦味もなく、ちょっとびっくりするくらい甘くてびっくりした。だいぶ寒さに当てたきんなあ。しかしこれええでないか。

 そういえば以前紹介した柏の本にも、大きくなりすぎて日本の規格では売り物にならんようになったほうれん草と、そういうでかいほうれん草を探してたフランス料理のシェフがうまくマッチングしたという印象的な話があった(p64)。そういうことはまだまだでけるかもしらんなあ。水菜でもうひとつ言うたら、あれ大根みたいな直根が生えるんやけど、辛味大根みたいな味でピリっとしてわりあい美味しいんで。


   


Posted by kazuzo at 20:20Comments(2)野菜