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Posted by あしたさぬき.JP at

2013年03月22日

彼岸、Y子さんの田んぼに入る。

 Y子さんっていうおばあちゃんがおってな、家はそんなに近所っていうわけではないんやけど、Y子さんが自転車で直売所に花を持っていくときに必ずうちの畑の前を通っりょったんな。そんなわけで仲良し。お花出荷仲間で、花の種や菊の苗を融通しあったりしよった。Y子さんは種とり名人やったなあ。ちょうど今頃、お彼岸なんかはお花仲間はちょう張り切るよ。

 Y子さんは朝夕は夢ハウスのお花の仕事をしよったけど、それ以外はなにしよったかというとひたすらに、もう耕作しなくなった自分とこの田んぼの草と戦いよった。二人暮らしのおじいさんもおるんやけど、悪いところがあってあんまり外で仕事がでけん。Y子さんが暑い日も寒い日も、鎌で草を刈り、肩掛け噴霧器かついで除草剤をかけて歩いた。狭い田んぼちがうんで。1枚で30a以上ある。香川県ではかなり広いほう。「トラクターでつこうてあげようか」って言うても「かまんのでかまんので」と笑うだけ。

 ある年、田植えはせんのやけど、田んぼに水を張った。これはええなあ。水管理さえしとけばしんどい草刈りせんで済む。生き物もようけやってくる。ところが同じ用水路を使う近所から、稲も作らんのに大事な水を広いとこに溜めるとは何事ぞと文句が来た。その気持ちも分からんでもない。香川用水の通った今でも、香川県の百姓は水をふんだんに使えるわけではないんや。ちょっと雨が降らんと、簡単に用水路から水が消える。冬期湛水で環境保護に補助金おいしいですってどこの話?結局水は1,2ヶ月溜めとっただけ。また草との戦いが始まった。

 去年、Y子さんは交通事故で亡くなった。おじいさんも後を追うように亡くなった。いろいろあってわしがその畑で野菜を作ることになった。Y子さんが何年も草を刈っても草はまだ生えとる。人間が草に勝てる日は来るんやろうか。今の季節はスズメノテッポウが強敵。チョロチョロと穂が出てきた。



 これほっといたらもっと草が生える。Y子さんがせっかく守ってきた田んぼをこれ以上草ぼうぼうにするわけにはいかん。Y子さん、田んぼ入らせてもらうわな。使わせてもらうにあたって、田んぼの状態を知らないかんきん、簡易の土壌診断してみた。窒素もリン酸もカリも腐植ほとんどなし。pHは低い。何年にもわたってY子さんが草を刈って全部集めて燃やしてしもうた証拠やな。野菜を作るにはこの真っ白い状態から、石灰でpHを上げたり炭素率の高い有機物をたっぷり入れて、野菜モードの下地を作ってやらないかん。まずはpHを上げてやることから。これは一気にあげると危険やきん、ゆっくりじょんじょにやる必要がある。苦土石灰を散布しながらトラクターで耕した。腐植がないきん、土が締まって固い。



 そんなわけでてこずってると夕方までかかった。こらいかん。草を枯らすには日に当てて根を乾かしてやらないかんきんな。そうこうしとるうちに予想外の小雨が降ってきた。ちょっとちょっとY子さん、勘弁してつかよ~。わし、割と草生やすほうやきん心配しとんな?この田んぼだけは生やさんきん、まかせてつかよ。5月になったらわさわさ生えてくるんがあるけど、あれはソルゴーやきんな。野菜のために必要な有機物を畑に入れるためのええ草や。心配せんでええきんな。ほんまにな。

   

Posted by kazuzo at 19:57Comments(3)雑記

2013年03月19日

Amazon農業ストア誕生で農業クラスタに激震走る。

 夕方やったんやけど、お彼岸やらなんやらで忙しいきん、とりあえずハウス一棟置いておくな。




http://www.amazon.co.jp/gp/browse.html?node=2494528051  

Posted by kazuzo at 20:14Comments(0)雑記

2013年03月08日

葉を食べるか芽を食べるか。どっちも食べたらどうやろか。

 今なんしょんかと言うと相変わらずブロッコリーを精出して取っりょる。一気にぬくうなったきんあほみたいにようけふくれて、収穫が追いつかん。それは全国の産地どこもおんなじらしくて一時若干持ち直しとった市場のお値段は急降下。ほえええ。みんな、精出して食べてつかよ~。ブロッコリーサドルやるんやったら今やで。学生の皆さん、卒業前のモラトリアム最後の思い出にどうですか。ただしもろた人はちゃんと食べてつかよ。今頃のはボリュームがあってほんと美味しいよ。



 と同時にお昼からは収穫が終わったブロッコリーに苦土石灰ぶっかけてトラクターで土と和え物を作る。誰が食べるか。そこに霜の心配がなくなったらソルゴーの種を播くやん。ブロッコリーが吸いそこなった残りの肥料や、残った葉茎の分解したもんがソルゴーの肥料になるんや。それでブロッコリーモードになっとった土壌の微生物の様子を一端リセットしてやったり、ソルゴーを鋤き込むことで土の中に有機物を大量に供給してええあんばいにしてやる。そのええあんばいんとこにまたブロッコリーを播く。

 ブロッコリーやナバナは植物の芽の部分をいただくお野菜やけど、葉や実をいただく野菜に比べたらどっちかというとそっちは少数派なんかな。でも最近各地の郷土野菜で芽をいただくものをたまたま知る機会が相次いだんや。

 前橋市のこれ、幻のアブラナやって。美味しそうやなー。すかさず「田口菜 種 価格」で検索。種を売っとるネットショップを探すときのテクニックな。ところが出てこない。さすが幻やなあ。現地で分けてもらうしかないみたい。

 秋田県にはフクタチという野菜があるんやけど、これは白菜をわざとに肥料なしで育てて出てきた芽を食べる野菜だとか。肥料なしだと花芽分化は早まり、トウが立ちやすくなるきん理屈やなあ。今年は寒くて結球できんかった白菜をいっぱい作ってしもうたきん、わしも食べてみようかなあ。

 こういう、芽を食べる用の野菜はそういうもんやきんそれでええんやろうけど、葉を食べる野菜に芽が出ると、それは「トウが立ってしもうたがー」ということになるんよな。日本の商慣習上では売り物になりませんという宣告。それがトウ立ちなんよね。葉物はまだそんなに味に影響するわけでないけど、大根とか人参は味や食感が目に見えて落ちるのでダメ絶対ダメ。ちょうど今頃、秋に植えて冬を越した野菜がどんどんトウ立ちする時期やきんな、収穫する側はガクガクブルブルなんや。

 でもさっきの白菜みたいな発想の転換はあってもええような気がするなー。というのは2年前から思ってて、それはNYの一番賑わってるグリーンマーケットで、元来葉を食べる用の野菜のトウの立ったんがいっぱい売られとるのをみたきん。



 トウが立ったきんってほうってしまうのも勿体無いしなあ。勿体無いだけでなしにそのものに価値もないといかんとは思うんやけど。というわけで、今日収穫したサラダ水菜にまことに遺憾ながら立ってたトウをかじってみたんやけど、これが苦味もなく、ちょっとびっくりするくらい甘くてびっくりした。だいぶ寒さに当てたきんなあ。しかしこれええでないか。

 そういえば以前紹介した柏の本にも、大きくなりすぎて日本の規格では売り物にならんようになったほうれん草と、そういうでかいほうれん草を探してたフランス料理のシェフがうまくマッチングしたという印象的な話があった(p64)。そういうことはまだまだでけるかもしらんなあ。水菜でもうひとつ言うたら、あれ大根みたいな直根が生えるんやけど、辛味大根みたいな味でピリっとしてわりあい美味しいんで。


   


Posted by kazuzo at 20:20Comments(2)野菜