2011年12月14日

わしはマクロビオティックで商売している奴が嫌いである。その2

 その1のほぼワンフレーズに対する大反響にビビりつつその2を書くことにするが。

 うちは有機肥料も化学肥料も農薬も使う普通の農家やきん、有機~や自然~を推奨するマクロビオティックを批判するのはポジショントークと思われるかもしらん。でも同時にわしは直売所にも積極的に出荷しよるきん、身土不二のキャッチフレーズの下、近隣で採れた作物をこれまた推奨するマクロビオティックの人はお客さんになりうる。この時期出っしょる軟弱葉物なんかは法律上表示してないけど使う必要がないきん農薬使ってないしな。

 そんなわけで難しいところなんやけど、やっぱりなあ、意味なくというかちゃんとした根拠なくこれがエエあれはイカンというのはその1にも書いたけど偏食やで。百姓やってるからには食品リスクとか勉強しとかないかんと思ってそれなりに勉強したけど、意味なく食う物に枠をはめるのが一番リスク回避の観点からはよろしくないんやが。詳しくはこっちで紹介した本とかを参照のことやけど。

 そういう観点プラス農業の観点からマクロビオティックを見ると、心配になるのはミネラルの過不足やが。(テキトーに解釈されることもあるらしいけど)身土不二の教えからは近隣のものを食うべしとおっしゃいますが、土地土地によってミネラルの含量が違うきんな。風土病はミネラルの過不足から起こることも多い(参照)。そんで例えば自然農法なんかの低投入・地力依存型の農業やとモロに土地が持つ、または不足するミネラルの影響を受けるし、その収奪も激しい。

 じゃあミネラル豊富な堆肥なんかを大量に投入する有機農法ならええんかというとそうでもないんやが。有機物の多投で各種ミネラルが不溶化やまた酸化したりして作物が利用できなくなることが知られとる(渡辺和彦『ミネラルの働きと作物の健康』p18-24など)。難儀なこっちゃな。もちろん、土壌分析と多種多様な資材を駆使して要素欠乏や過剰害を防ぐ有機の匠も全国にはおられる。

 有機物の多投は有機農家だけの話ではなくていわゆる慣行農法にも当てはまることがある。みんな、慣行農法って言うたら化学肥料しか使わんって思ってない?各県の栽培指針なんかを調べてもらうと分かるけど、堆肥2t/10aとか普通に入れるんよ。そこで同様の問題は起きるし、また同様に匠もおる。もっとも、資材に有機JASのような制限のない慣行農法の場合は、各種微量要素(ミネラル)肥料(こんなんとかこんなんとか)を使えるきん、対応が楽かもしらん。

 そんなわけで、まあこの辺わしの考え過ぎのような気もしないでもないけど、産地とか農法とかもあんまりこだわらんと、豊かな選択肢を素直に享受したら一番ええんと違うかなあというわけやが。特定の農法を否定しとるんじゃないよ。有機言うてもいろいろやし、自然なんてもうカオスやし、慣行農法でも人によってやることは違う。

 もちろん直売所で旬の野菜も買って欲しいけど、スーパーでハウストマトも買って食べて欲しいと思う。

 それでも慣行農法は化学肥料や農薬の害があ…って言う人がおるかもしれんけど、そういう人には自分好みの説ばかり読むんじゃなくてちゃんと勉強してくださいとしか言いようがないが…。

 

 


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